何で救急車は通り過ぎると音が変わるの?|身近な科学を探究しよう!

何で救急車は通り過ぎると音が変わるの?|身近な科学を探究しよう!
スポンサーリンク

「あれって何で?」って、子供に聞かれることありますよね?
身近で起こる出来事を科学的に探究したいと思います!

今回は、「何で救急車は通り過ぎると音が変わるの?」という疑問。

救急車が近づいてくる音が聞こえてきて、段々と大きくなってきますが、通り過ぎるとなんか音が低くなるという経験ありますよね?
救急車は音を変えているわけではないんです。音の特性と物理現象を整理して、音の好奇心を探究していきましょう!!

音って何だろう?

そもそも音ってなんなのかを見ていきましょう。

音はどうして聞こえるか?

実は、音とは、空気などが振動して、その振動が人の耳の鼓膜を振動するために音が聞こえます。

空気でなくても、水などの液体や金属などの固体でも振動して音は伝わります。水中で、水の中の音を聞いたことありますよね。

逆に空気などがない真空の状態(宇宙空間など)では、振動するものがないため、実は音が聞こえません。

音は波?!

音は空気中を振動し伝わっていくとき、波となって伝わっていきます。これを「音波」と呼びます。

正確には、音が鳴ると、その振動によって音を発するモノの周りの空気を押し出し、空気が濃い部分ができます。そして、すぐ隣の空気を押し出します。それがどんどん繰り返され、空気の濃い部分と薄い部分が発生し、音が波となって伝わっていくこととなります。(下図の上)

便宜的に、空気の密度の濃い薄いを、水の波のような形で表現することが多いです。(下図の下)

空気中の音の密度と正弦波のイメージ図

音の特徴

音って、大きかったり、小さかったり、高かったり、低かったり、色んな風に聞こえますよね。

音の大小は、音の波の大きさ(振幅)によって決まります。

振幅が大きければ、大きな音ですし、振幅が小さければ小さな音ということになります。

音の大きさは振幅の違いを示す図

 

また、音の高低は、振動数の多い少ないで決まります。

振動数が多ければ高い音となりますし、振動数が少なければ低い音となるわけです。

音の高低を表現した振動数の違いを示す図

スポンサーリンク

救急車の音の変化の原理

救急車の音

救急車が止まっている場合、救急車から出ているサイレンの音は、同心円で音は広がっていき、どこで聞いても同じ音が鳴っています。

救急車が止まっている場合の音の聞こえ方

 

しかし、救急車が走り出すと様相が変わります。

音波の発生源が移動するため、進行方向側では波の間隔は狭くなり、遠ざかっていく側では波の間隔は広くなっていきます。

救急車が移動した場合の音の聞こえ方

つまり、進行方向側では振動数は多くなる=高い音が聞こえ、遠ざかっていく側では振動数が少なくなる=低い音が聞こえるというわけです。

 

音のドップラー効果

この現象は「ドップラー効果」と呼ばれています。

現象自体は古くから知られていましたが、1842年に数学的な関係式を見出したオーストリアの物理学者クリスチャン・ドップラーの名前に由来しています。

色んなドップラー効果

ドップラー効果は何も音だけではありません。

波の特性を持つものであれば、ドップラー効果は生まれるため、波の特性を持つ光にもドップラー効果はありますし、その他の電磁波のドップラー効果を利用した身近なものは多く存在します。

例えば、道路にあるオービスや野球の球速を測るスピードガンは、物体に電磁波を当て、その反射波を読み込むことでスピードを測定しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?救急車が近づいてくる時と離れていくときで、音が変化する原理は整理できましたでしょうか?

音は波で、音源が止まっていれば、どこにいても同じ振動数の音が人の耳に届きますが、近づいていると振動数が多くなり、高い音に聞こえ、遠ざかると振動数が少なくなり、低い音に聞こえることになります。つまり、救急車が近づくと高い音に聞こえ、目の前を通り過ぎ遠ざかっていくときに低い音に変わるという訳です。

子供は身近な出来事に好奇心を持って、「なんでだろう?」を良く聞いてきますよね。
是非、この「何で?」「どうして?」を大事に、一緒に堀り下げていくことで、子供の驚きと感動を生み出すことで、好奇心を刺激し、探求心をくすぐっていきましょう!!


<参考>
シニアの安心相談室|音とは